「できない」子が持つ葛藤

最終更新: 7月10日


学習に困難さがあるお子さんに共通しているのは、「何ができないか」は何となくわかっているけれど、「なぜできないか」がよくわからない、ということです。漢字が全然書けないからといって、漢字をがんばって練習しようとしても、大体の場合は、中々上手く行きません。


その結果として、どうしたら良いか本人も周囲の人もわからず、お子さんが自信ややる気を無くしたり、反発したり、先生や家族との関係が悪化したり、といったことが起きてしまうことも多いのではないでしょうか。

学習に困っているお子さんの中で、よくあるケースとしては、


  • やっても身につかない書き取りの練習をしている

  • よくわからないけれどとりあえず教えてもらいながら何となくやっている

  • 答えを見ながら何とか進めている


といったことがあります。



本当は、

「なぜできないのか」=「どこでつまづいているのか」

ということをもっと具体的に見ていく必要があります。

その考え方として、1つ例を取り上げてみましょう。




例えば、中学生で「英語が全くできない」という悩みがあります。「できない」ということはテストを見れば誰が見てもよくわかるのですが、実際にはどう教えたらできるのか、わからないことも多いと思います。


英語が苦手という生徒さんの多くが、実はどこでつまづいていたかというと、


アルファベットの読み方(Mはエムと読む、Qはキューと読む、など)


の時点でつまづいていたのです。(もちろん、個別の状況によります)


正確に言うと、本当に英語ができないお子さんは、わかる文字も多いけれど、わからない文字もあり、かつわかる文字も、少し考えて「これかな」という状態であることが多いです。


この状態を日本語に例えて言うなら、今ご覧になっているこの文章に使っている「漢字・ひらがな」の読み方が半分しかわからず、かつ読めても1文字単位で「これなんだっけ」と止まってしまうようなレベル感です。英文を読み進めることなんて到底できません。


その状態で、例えば「こんにちは」「さようなら」と家で10回書いて練習してね、と言われても、何とかお手本を見ながら真似をして書くことはできますが、読めない「こんにちは」は単なる謎の記号でしかありませんから、当然読めなければ意味も分からないし、ましてや覚えることなんてできません。


それでも学校の学習は待ってくれず、文字→単語→文→長文と量がどんどん増えていきます。言葉の種類も日に日に増えていくので、「なにがなんだかさっぱりわからない」という状態で、教科書の文章を丸々うつす課題をさせられていたりするのです。

(本当は困っているだけなのにマイナスの評価をされてしまうので、やる気がなくなったり、言うことを聞きたくなくなったりすることもありますよね。)



ではそうすれば良いのかというと、こういった場合には、まず「aはエーで、bはビー…」といったように、アルファベットの文字と音を一致させていくところから始めていく必要があります。

それが習得出来たら、次に母音と子音の組み合わせで音が成り立っていることを学び、ローマ字や、フォニックスを1つ1つ学んでいきます。


こういったサポートが必要なお子さんは、当たり前にできている子と比べると同じものを習得するためにかなり大変な労力をかけることになりますし、「なんで自分だけこんなことが出来ないんだろう」と悲しい気持ちが起こってくるかもしれません。

それでも地道にこういった練習を積み重ねていくと、もちろんそれなりの時間が必要ですが、英単語が何となくどう読むのか、少しずつわかるようになってきます。


私たちの役割は、やっても仕方のない書き練習をするのではなく、何を練習したら上達できるのかを見つけて、お子さんが抱える「がんばりたい気持ち」と「辛くて悲しい気持ち」の葛藤を励ましながら、その子なりの軌道に乗るまでサポートしていくことです。


上手く行かないお子さんを見ている親御さんも、様々な思いが沸いてくることかと思います。そんなときは、ぜひお気軽にご相談ください。

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